m2a18【番外編】日本経緯度原点と水準原点
2018/8/11
【番外編】日本経緯度原点と水準原点
地理院地図(電子国土Web)にkmlで作図してありますので、ここ を見ながら、読んでね。新しいタブで開きます。
*座標の数値は、世界測地系ですが少数点以下6桁に丸めてありますので注意。
天然記念物とは直接関係ないですが、日本の基準点を訪問したので、記録に残します。
三角点をめぐる方々は「訪座」という風に言うらしいです。一応、測量士補の資格を持っているので測量について語ってもいいでしょう。(自問自答)
1.標高の基準
明治6年6月から明治12年12月まで霊岸島水位観測所(黄色の点)で東京湾の平均海面を測定T. P.(Tokyo Peil)として、国会議事堂前の公園のに水準原点(赤い点)を作ったとのこと。 建物の中に水晶板があり、目盛0のところが、24.3900mとのこと。(もともと、24.500mであったが関東大震災と東日本大震災でそれぞれ沈下した)。
離島を除いた日本標高の基準である。
現在はすぐ隣に電子基準点があって、リアルタイムで近辺の沈下がわかるらしい。
2019年8月9日訪問
日本水準原点は、建物が都の文化財となっている。すぐ近くに電子基準点がある。
<日本水準原点>
<電子基準点>
霊岸島水位観測所はモニュメントになっている。もともとの測定点から30数メートル下流にあるそうだ。
<霊岸島水位観測所>
2.経緯度の基準
ロシア大使館の横を入っていって、トウキョウクラブの先。もともと東京天文台の子午環儀(経度を測定する特殊な望遠鏡)が置かれていたところに経緯度原点がある(赤い点)2019年8月10日訪問
<日本経緯度原点>
「明治15年(1882年)(中略)9月初旬から10月初旬にかけて、関定コン(目へんに軍)工兵大尉、矢島守一十一等出仕らによる相模野基線測量実施。」
[出典]細井将右、「日本の近代地形図の始まり」、風間書房、2018/12/25初版。
日本の三角測量はこうして始まった。[参考]”https://ja.wikipedia.org/wiki/相模野基線”
①一等三角点「下溝村」(35.531261,139.406397)と一等三角点「座間村」(35.490219,139.434271)の距離を測る。上述の相模野基線のこと。赤い線。
②相模野基線に直行するように、一等三角点「長津田村」(35.512055,139.483581)と一等三角点「鳶尾山」(35.504497,139.324847)を測量します。赤い線。
③②に直行するように、一等三角点「連光寺村」(35.630808,139.465041)と一等三角点「浅間山」(35.322146,139.312348)を測量します。赤い線。
④③に直行するように、一等三角点「丹沢山」(35.474528,139.162660)と一等三角点「鹿野山」(35.254982,139.955735)」を測量します。赤い線。
⑤「丹沢山」と「鹿野山」と「日本経緯度原点」を結ぶ大三角形ができます。赤い線。
この大三角形の各辺の長さは相模野基線の長さがわかっているので、三角関数で求めることができます。また、日本経緯度原点は、天体観測などから正確な緯度と経度がわかっています。この大三角形をスタートに日本中の三角点を測量していけば、地球上の正確な位置がわかるわけです。
ちなみに、方位角(真北と基準となる方向の角度)というのも定められていて、日本経緯度原点からつくばの「超長基線電波干渉計観測点(36.103194,140.089093)」の方向の角度です。青い線。
3.江戸の守り
徳川家康が江戸城を作ったときに、鬼門(北東)と裏鬼門(南西)を守るために、それぞれ、日光東照宮と芝増上寺を置いたとのことです。実際に線を引いてみると。
緑色の線。芝増上寺は確かに南西ですが、あれれ、日光は、北東でなく、北西になっちゃいますね。緯度と違って経度を正確に測るのは正確な時計や電信技術ができるまではできなかったのでやむを得ないといえますが。
→ 日光東照宮(輪王寺)の金剛ザクラ
→ 芝増上寺のカヤとイチョウ
4.基準点いろいろ
番号 | 名称 | 住所 | 座標 | 訪問日 |
---|---|---|---|---|
y1m3a01 | 日本経度原点 | 東京都港区麻布台2-18-1 | WGS35.658099,139.741357 | 2019/8/10 |
y1m3a02 | 日本水準原点 | 東京都千代田区永田町1-1-2 | WGS35.677291,139.747853 | 2019/8/9 |
y1m3a03 | 超長基線電波干渉計観測点 | 茨城県つくば市北郷1 | WGS36.103194,140.089093 | 2019/10/19 |
y1m3b01 | 一等三角点「下溝村」 | 相模原市南区麻溝台4 | WGS35.531261,139.406397 | 2019/12/28 |
y1m3b02 | 一等三角点「座間村」 | 座間市ひばりが丘1 | WGS35.490219,139.434271 | 2019/9/13 |
y1m3b03 | 一等三角点「長津田村」 | 横浜市緑区長津田町 高尾山頂 | ||
y1m3b04 | 一等三角点「鳶尾山」 | 厚木市棚沢 鳶尾山頂 | ||
y1m3b05 | 一等三角点「連光寺村」 | 東京都多摩市連光寺 天王森公園内 | ||
y1m3b06 | 一等三角点「浅間山」 | 平塚市 高麗山公園内 | ||
y1m3b07 | 一等三角点「丹沢山」 | 神奈川県 丹沢山 | ||
y1m3b08 | 一等三角点「鹿野山」 | 千葉県 鹿野山 | ||
y1m3c01 | 霊岸島水位観測所 | 東京都中央区新川2-32-1先 | WGS35.671847,139.782887 | 2019/8/9 |
y1m3c02 | 油壺験潮場 | 神奈川県三浦市三崎町 | WGS35.160012,139.615545 | 2020/2/23 |
y1m3c03 | 勝浦験潮場 | 千葉県勝浦市興津 | ||
y1m3c04 | 水沢測地観測所 | 岩手県奥州市水沢区黒石町 | ||
y1m3c05 | 久礼験潮場 | 高知県中土佐町久礼 | ||
y1m3c06 | 最高標高一等三角点 | 長野県下伊那郡大鹿村 | ||
y1m3c07 | 最低標高一等三角点 | 佐賀県佐賀市川副町大字大詫間 | ||
y1m3c90 | 真北(経緯度原点から) | |||
y1m3c91 | 江戸城天守閣跡 | 東京都千代田区 | ||
y1m3c92 | 日光東照宮(江戸城真北) | 栃木県日光市 | WGS36.758029,139.598765 | 2016/9/10 |
y1m3c93 | 細島検潮所 | 日向市細島 | WGS32.428559,131.669555 | |
y1m3d01 | 鹿島34mアンテナ | 茨城県鹿嶋市大字平井 | ||
y1m3d02 | 鹿島11mアンテナ | 茨城県鹿嶋市大字平井 | ||
y1m3d03 | 石岡測地観測局 | 茨城県石岡市根小屋 | ||
y1m3d04 | 野辺山45mアンテナ | 長野県南牧村大字野辺山 | ||
y1m3d05 | VERA水沢観測局 | 岩手県奥州市水沢区星ガ丘町2-12 | ||
y1m3d06 | VERA入来観測局 | 鹿児島県薩摩川内市入来町浦之名4018-3 | ||
y1m3d07 | VERA小笠原観測局 | 東京都小笠原村父島字旭山 | ||
y1m3d08 | VERA石垣島観測局 | 沖縄県石垣市登野城嵩田2389-1 | ||
y1m3d09 | 臼田宇宙空間観測所 64mアンテナ | 長野県佐久市上小田切1831-6 | ||
y1m3d10 | 内之浦宇宙空間観測所 34mアンテナ | 鹿児島県肝属郡肝付町南方1791-13 | ||
y1m3d11 | 最北基準点(水準点) | 北海道稚内市宗谷岬 | ||
y1m3d12 | 最南基準点(三角点) | 東京都小笠原村沖ノ鳥島 | ||
y1m3d13 | 最東基準点(三角点) | 東京都小笠原村南鳥島 | ||
y1m3d14 | 最西基準点(電子基準点) | 沖縄県八重山郡与那国町 | ||
y1m3d15 | 最高基準点(三角点) | 富士山剣が峰 | ||
y1m3d16 | 最低基準点(三角点 -4.0m) | 秋田県大潟村字方上 | WGS39.947790,140.003060 | 2021/9/24 |
y1m3d17 | 最低基準点(標高 -4.4m) | 秋田県大潟村字中野 | WGS40.012012,139.999316 | 2021/9/24 |
y1m3d18 | 大潟富士(日本一低い山) | 秋田県大潟村字方上 | WGS39.986091,140.008387 | 2021/9/24 |
y1m3d19 | 男鹿験潮場 | 秋田県大潟村中野 | WGS39.942098,139.703463 | 2021/9/24 |
y1m3e01 | 伊能忠敬墓 | 台東区東上野6-19-2 | WGS35.714242,139.784642 | 2024/6/8 |
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